身体障害者手帳の制度

身体障害者障害程度等級表の補足説明、2つ以上障害、内部障害

2つ以上の障害を組み合わせると、身体障害者手帳の等級が、より重い障害と認定される場合があります。

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2つ以上障害がある場合の手帳の等級

2つの障害で上位の等級になれば、手帳のメリットも多くなります。

2つ以上の障害がある場合は、身体障害者手帳の等級が、上の等級となることがあります。
上位の等級になるということは、より重い身体障害があると認定されることです。

重い身体障害と認定されれば、身体障害者手帳のメリットが大きくなる場合があります。

等級が1級と2級は重度の身体障害の判定区分で、身体障害者手帳のメリットも3級以下と比べて大きくなります。
なるべくなら上の等級で認定してもらったほうがメリットが大きくなるということです。


等級判定方法の解説、2つ以上の障害が重複する場合の取扱い

2つ以上の障害が重複する場合の障害等級は、次の方法により認定します。

1、障害等級の認定方法

  • 2つ以上の障害が重複する場合の障害等級は、重複する障害の合計指数に応じて、次により認定します。

認定等級と「合計指数」の一覧表です。

認定等級

合計指数

認定等級 1級

18以上

認定等級 2級

11~17

認定等級 3級

7~10

認定等級 4級

4~6

認定等級 5級

2~3

認定等級 6級

1

  • 合計指数の算定方法

合計指数は、次の等級別指数表により、各々の障害の該当する等級の指数を合計したものとします。

この等級別指数表の、それぞれ個別の障害の指数を合計します。

各々の障害の
該当する等級

障害等級の指数

1級

18

2級

11

3級

7

4級

4

5級

2

6級

1

7級

0.5

個別の障害が7級でも、7級の障害が2つあれば、7級の指数が0.5なので、
0.5+0.5=1で、合計指数が1になるので、認定等級は6級です。

7級では身体障害者手帳はもらえませんが、6級なら手帳が交付されます。

  • 合計指数算定の特例

同一の上肢又は下肢に重複して障害がある場合の当該一上肢又は一下肢に係る合計指数は、機能障害のある部位(機能障害が2か所以上あるときは上位の部位とする。)から上肢又は下肢を欠いた場合の障害等級に対応する指数の値を限度とする。

  • 具体例その1、合計指数算定の特例
  • 右上肢のすべての指を欠くもの 3級 等級別指数 7
  • 右上肢の手関節の全廃 4級 等級別指数 4

手の指の関節が全廃するより、全ての指がない状態の方が、より重い障害です。
そのため、「右上肢のすべての指を欠くもの」の障害を限度とします。

この場合、指数の合計は11ですが、次の障害の指数が限度となるため合計指数は7となります。
右上肢のすべての指を欠くもの 3級 等級別指数 7

  • 具体例その2、合計指数算定の特例
  • 左上肢の肩関節の全廃 4級 等級別指数 4
  • 左上肢の肘関節の全廃 4級 等級別指数 4
  • 左上肢の手関節の全廃 4級 等級別指数 4

肩・肘・手の関節が全廃している状態より、肩関節から下を欠く状態の方が、より重い障害です。
そのため、「左上肢を肩関節から欠くもの」の障害を限度とします。

この場合、指数の合計は12ですが、次の障害の指数が限度となるため合計指数は11となります。
左上肢を肩関節から欠くもの 2級 等級別指数 11

2、認定上の留意事項

(1)音声機能障害、言語機能障害及びそしゃく機能障害の重複については1の認定方法を適用しない。

(2)体幹機能障害と下肢機能障害は原則として1の認定方法を適用してさしつかえないが、例えば、神経麻痺で起立困難なもの等については体幹及び下肢の機能障害として重複認定すべきではなく、体幹又は下肢の単独の障害として認定するものとします。

(3)聴覚障害と音声・言語機能障害が重複する場合は、1の認定方法を適用してさしつかえありません。
例えば、聴力レベル100dB以上の聴覚障害(2級指数11)と音声・言語機能の喪失(3級指数7)の障害が重複する場合は1級(合計指数18)とします。

(4)7級の障害は、等級別指数を0.5とし、6級以上の障害と同様に取り扱って合計指数を算定します。

3、その他

上記により認定される障害等級が著しく均衡を欠くと認められるものについては、地方社会福祉審議会の意見を聞いて別に定めるものとします。

内部障害とは?

内部障害とは、「見えない障害」のことです。

内部障害とは、肢体不自由以外の身体の内部の障害のことです。「見えない障害」と呼ばれています。

具体的には身体障害者手帳の等級表にある、

  • 心臓機能障害
  • じん臓機能障害
  • 呼吸器機能障害
  • ぼうこう又は直腸の機能障害
  • 小腸の機能障害
  • HIVヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
  • 肝臓機能障害

以上の障害のことを、内部障害といいます。

内部障害は、3級でも重度の扱いになることも。

内部障害の場合は身体障害者手帳の等級が3級でも重度の障害と扱われる場合もあります。

重度になると手帳のメリットが大きくなります。
医療費助成制度などで、3級の内部障害が、重度の障害と扱われる場合があります。

ただ、所得税や住民税の障害者控除の特別障害者は1級・2級だけが対象で、3級では重度の扱いにはなりません。

見た目じゃわからない、内部障害。

内部障害は、見た目では障害があるとはわからないのが特徴です。
見た目では障害がわからないため、周囲の人からの手助けが受けにくいことがあります。

体調不良を訴えても、相手から理解されなかったり、障害者用駐車スペースや電車やバスの優先席を利用すると、周囲の人から注意された経験がある内部障害の人もいます。

内部障害を持つ身体障害者は、自分の障害のことを理解してもらえず、苦しい思いをしています。
身体障害者手帳を提示すれば障害者と証明できますが、手帳を見せびらかしながら生活するわけにはいきません。

見た目ではわからない、見えない障害もあるってことを、ぜひ多くの方に知ってもらいたいです。

身体障害者障害程度等級表の補足説明

身体障害者福祉法施行規則の第五条別表第五号の備考に書かれている説明です。

  1. 同一の等級について二つの重複する障害がある場合は、一級うえの級とする。ただし、二つの重複する障害が特に本表中に指定せられているものは、該当等級とする。
  2. 肢体不自由においては、七級に該当する障害が二以上重複する場合は、六級とする。
  3. 異なる等級について二以上の重複する障害がある場合については、障害の程度を勘案して当該等級より上の級とすることができる。
  4. 「指を欠くもの」とは、おや指については指骨間関節、その他の指については第一指骨間関節以上を欠くものをいう。
  5. 「指の機能障害」とは、中手指節関節以下の障害をいい、おや指については、対抗運動障害をも含むものとする。
  6. 上肢又は下肢欠損の断端の長さは、実用長(上腕においては腋窩より、大腿においては坐骨結節の高さより計測したもの)をもつて計測したものをいう。
  7. 下肢の長さは、前腸骨棘より内くるぶし下端までを計測したものをいう。

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