身体障害者手帳の認定Q&A

総括事項、身体障害者手帳の認定基準のQ&A

全部で15の質問に答えます。

身体障害者手帳の認定基準のQ&A・【総括事項】

質問1.

遷延性意識障害者に対する身体障害者手帳の交付は、日常生活能力の回復の可能性を含めて、どのように取り扱うのでしょうか?

遷延性意識障害者の手帳認定についてです。

回答1.

遷延性意識障害については、一般的に回復の可能性があるので、慎重に取り扱うことが必要です。
また、原疾患についての治療が終わり、医師が医学的、客観的な観点から、機能障害が永続すると判断できるような場合は、身体障害認定の対象となるものと考えられます。

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質問2.

加齢現象に伴う身体障害についての質問です。
加齢現象に伴う身体障害にも、日常生活能力の可能性、程度に着目して身体障害認定することは可能と思われます。老衰により歩行が不可能となった場合等でも、歩行障害が認定されるのでしょうか?

加齢での手帳認定についてです。

回答2.

加齢のみを理由に身体障害者手帳を交付しないことは適当ではありません。身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を謳った身体障害者福祉法の理念から、近い将来において生命の維持が困難となるような場合を除き、身体障害者認定基準に合致する永続する機能障害がある場合は、認定できる可能性はあります。

質問3.

意識障害を伴う身体障害についての質問です。
意識障害を伴う身体障害にも、日常生活能力の可能性、程度に着目して認定することは可能と思われます。脳出血等により入院加療中の者が、片麻痺あるいは四肢麻痺となり、体幹の痙性麻痺及び各関節の屈曲拘縮、著しい変形があり、寝たきりの状態である者が身体障害者手帳の申請をした場合、入院加療中であることなどから非該当となるのでしょうか?

意識障害での手帳認定についてです。

回答3.

入院中であるなしにかかわらず、原疾患についての治療が終了しているのであれば、当該機能の障害の程度や、永続性によって判定することが適当です。

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質問4.

アルツハイマー病に起因した廃用性障害により、寝たきりの生活となり、全面的に介助を要する状態にある場合、二次的な身体障害として障害認定することは可能でしょうか?

アルツハイマー病での手帳認定についてです。

回答4.

アルツハイマー病に限らず、老人性の痴呆症候群においては、精神機能の衰退に起因する日常生活動作の不能な状態がありますが、この疾病名をもって身体障害と認定することは適当ではありません。
ただし、関節可動域の制限や筋力低下等の状態が認定基準に合致し、永続するものである場合には、二次的であるか否かにかかわらず、当該身体機能の障害として認定することは可能です。

質問5.

乳幼児に係る身体障害認定は、「概ね満3歳以降」となっていますが、どのような障害についてもこれが適用されるのでしょうか?

乳幼児の手帳の認定時期についてです。

回答5.

乳幼児については、障害程度の判定が可能となる年齢が、一般的には「概ね満3歳以降」と考えられることから、このように規定されています。
しかしながら、四肢欠損や無眼球など、障害程度や永続性が明確な障害もあり、このような症例については、満3歳未満であっても認定は可能です。

質問6.

満3歳未満での身体障害認定において、四肢欠損等の障害程度や永続性が明らかな場合以外でも、認定できる場合があるのでしょうか? また、その際の障害程度等級は、どのように決定するのでしょうか?

乳幼児の認定方法についてです。

回答6.

満3歳未満での申請においては、そもそも診断書を書いてもらえない、一律最下等級として認定されるなどの、誤解をされています。
しかし、医師が確定的な診断を下し難い満3歳未満の先天性の障害等については、障害程度が医学的、客観的データから明らかな場合は、発育により身体障害の状態に変化が生じる可能性があることを前提に、
(1)将来再認定の指導をした上で、
(2)障害の完全固定時期を待たずに、
(3)常識的に安定すると予想し得る等級で、
身体障害認定することは可能です。

また、このような身体障害認定をうける際には、一律に最下級として認定するのではなく、
(1)満3歳未満であることを理由に、医師が診断書を書かない、
(2)満3歳未満で将来再認定を要する場合は、とりあえず最下等級で認定しておく、
などは不適切な取扱いです。もし、市町村の窓口担当者の知識不足で、このような取扱いを受けた時には、厚生労働省の指導を確認するよう指摘しましょう。それでも改善されない場合は、厚生労働省や社会保険労務士に相談しましょう。

質問7.

満3歳未満での身体障害認定で、医師の診断書(総括表)の総合所見において、「将来再認定不要」と診断している場合は、発育による変化があり得ないと判断し、身体障害認定されるのでしょうか?

乳幼児の再認定についてです。

回答7.

障害程度や永続性が明確な症例においては、再認定の指導を要さない場合もありえますが、発育等による変化があり得ると予想されるにもかかわらず、再認定が不要あるいは未記載となっている場合には、診断書作成医に確認をするなどして、慎重に取り扱います。

質問8.

診断書に「先天性」と明記されている脳原性運動機能障害の場合など、幼少時期の障害程度に比べて、成長してからの障害程度に明らかな軽減が見られる場合もありますが、「先天性」と「将来再認定」の関係はどのように考えるのでしょうか?

「先天性」と「将来再認定」についてです。

回答8.

1歳未満の生後間もない時期の発症によるものについては、発症時期が明確に定まらないために「先天性」とされる場合があります。先天性と永続性は必ずしも一致しないことから、申請時において将来的に固定すると予想される障害の程度をもって身体障害認定し、将来再認定をすることが適切な取扱いと考えられます。

質問9.

医師が診断書作成時に、将来再認定の時期等を記載する場合としては、具体的にどのような場合が想定されているのでしょうか?

手帳の再認定の時期についてです。

回答9.

具体的には以下の場合であって、将来、障害程度がある程度変化することが予想される場合に記載することを想定しています。
(1)発育により障害程度に変化が生じることが予想される場合

(2)進行性の病変による障害である場合

(3)将来的な手術により、障害程度が変化することが予想される場合

質問10.

身体障害者福祉法には国籍要件はありませんが、実際に日本国内に滞在している外国人からの身体障害者手帳申請に関しては、どのように取り扱うのでしょうか?

外国人の手帳認定についてです。

回答10.

日本で暮らす外国人の場合は、その滞在が合法的であり、身体障害者福祉法第1条等の理念に合致するものであれば、法の対象として身体障害者手帳を交付します。

具体的には、在留カード等によって居住地が明確であり、かつ在留資格(ビザ)が有効であるなど、不法入国や不法残留に該当しないことが前提となります。しかし、違法性がなくても「興行」、「研修」などの在留資格によって一時的に日本に滞在している場合は、身体障害者手帳交付の対象とすることは想定していません。

質問11.

診断書(総括表)に将来再認定の要否や時期が記載されている場合は、身体障害者手帳本体にも有効期限等を記載することになるのでしょうか?

手帳の有効期限についてです。

回答11.

診断書の将来再認定に関する記載事項は、再認定に係る審査の事務手続き等に要するものであり、身体障害者手帳への記載や身体障害者手帳の有効期限の設定を求めるものではありません。

質問12.

心臓機能障害3級とじん臓機能障害3級の重複障害の場合は、個々の障害においては等級表に2級の設定はないが、総合2級として身体障害者手帳交付することは可能でしょうか?

2つの障害で、等級表にない等級になる場合の認定です。

回答12.

それぞれの障害等級の指数を合計することにより、手帳に両障害名を併記した上で2級として認定することは可能です。

質問13.

脳血管障害に係る障害認定の時期については、発症から認定までの観察期間が必要なのでしょうか?また、その場合、観察期間はどの位が適当なのでしょうか?

脳血管障害での手帳認定についてです。

回答13.

脳血管障害については、四肢の切断や急性疾患の後遺障害などとは異なり、どの程度の機能障害を残すかを判断するためには、ある程度の観察期間が必要です。しかしながら、その期間については一律に定められるものではなく、障害部位や症状の経過などにより、それぞれの事例で判断可能な時期以降に認定することとなります。なお、発症後3か月程度の比較的早い時期での認定においては、将来再認定の指導をするなどして慎重に取り扱う必要があります。

質問14.

肢体不自由や内臓機能の身体障害などの認定においては、各種の検査データと動作、活動能力等の程度の両面から判定することとなっていますが、それぞれの所見に基づく等級判定が一致しない場合は、より重度の方の判定をもって等級決定するのでしょうか?あるいは、このような場合に優先関係等の考え方があるのでしょうか?

検査データと活動能力の評価が不均衡な場合の、等級の認定方法です。

回答14.

いずれの障害でも、検査データと活動能力の評価の間に著しい不均衡がある場合は、第一義的には診断書作成医に詳細を確認するか、又は判断可能となるための検査を実施するなどの慎重な対処が必要であり、不均衡のまま重度の方の所見をもって等級決定することは適当ではありません。

また、活動能力の程度とは、患者の症状を表すものであって医学的判定とはいえず、これを障害程度の判定の基礎とすることは適当ではありません。したがって、活動能力の程度については、検査数値によって裏付けられるべきものとして考えます。

しかしながら、障害の状態によっては、検査数値を得るための検査自体が、本人に苦痛を与える、又は状態を悪化させるなど、検査の実施が極めて困難な場合には、医師が何らかの医学的、客観的な根拠をもって、活動能力の程度を証明できる場合には、この活動能力の程度をもって判定を行うことも想定されます。

質問15.

身体障害者手帳の交付事務に関して、個々の事例によって事務処理に係る期間に差があると思われますが、標準的な考え方はあるのでしょうか?

手帳交付の事務処理機関についてです。

回答15.

身体障害者手帳の申請から交付までに要する標準的な事務処理期間としては、概ね60日以内を想定しています。特に迅速な処理を求められるHIVの認定に関しては、1~2週間程度(「身体障害認定事務の運用について」平成8年7月17日障企第20号)を想定しています。

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