身体障害者手帳と手当・補助金

心身障害者扶養共済と身体障害者手帳

障害者の保護者限定の生命保険、それが心身障害者扶養共済です。

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心身障害者扶養共済、制度の概要

心身障害者扶養共済は、保護者が死んだ後に、障害児が毎月2万円を受け取れる制度です。

障害児を扶養する保護者が、毎月一定の掛金を支払うと、保護者の死後から障害児が死ぬまで、毎月2万円が支給される制度です。

最大の特徴は、保護者が死亡した時に、保険金の受け取りが、一括ではなく、定額2万円の支給が続くことです。

  • 障害者の保護者が加入できる。
  • 加入すると、保護者は毎月一定の掛金を支払う。
  • 保護者が65歳になるまで、掛金の支払いを続ける。
  • 保護者が死ぬと、障害者へ毎月2万円の年金が支給される。
  • 年金は障害者が死ぬまで、生涯ずっと受け取れる。
  • 2口まで加入でき、2口だと年金が毎月4万円になる。

安心の保険制度、国の機関が運営、手続きは市役所

安心できる、公的な福祉目的の生命保険制度です。

この心身障害者扶養共済制度は、厚生労働省が所管する、独立行政法人福祉医療機構が運営しています。
障害者の将来の経済的不安に対して、国の公的機関が保険制度を用意してくれているのです。

さらに、この心身障害者扶養共済制度の契約などの事務手続きは、市役所などの自治体の窓口で行います。
障害者福祉担当の窓口が、契約事務を行ってくれます。

生命保険会社と契約する、一般の生命保険と違って、役所が対応する安心感のある生命保険なんて、ありがたい話です。

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加入者の条件、障害者の条件

加入者とは、障害者の保護者です。

加入者の条件と、障害者の条件、両方の条件を満たす場合に加入できます。

加入者の5つの条件

5つの条件を全て満たすと、加入者になれます。

  1. 障害者を扶養している保護者
  2. 障害者とは、父母や配偶者などの親族関係
  3. 年度初に満65歳未満
  4. 通常の生命保険と同じ健康状態
  5. 障害者1名に対し、保護者1名まで

障害児にとって、血縁関係にある実の父母であっても、現に障害児を扶養していない場合には、加入者にはなれません。
障害者の保護者は、父母や配偶者などの親族関係が原則ですが、親族同様と特別に認められれば加入が可能です。

申請手続きでは、加入者には健康状態の告知義務があり、審査で健康状態が認められた場合だけ、共済に加入できます。

障害者の条件

年齢などの条件はなく、手帳の等級だけが条件です。

  • 身体障害者手帳の等級が、「1級から3級」の身体障害者

加入者と違って、障害者には、年齢などの条件はなく、手帳の等級だけが条件です。

身体障害者手帳の等級が、4級から6級では、心身障害者扶養共済に加入できません。

身体障害の他にも、知的障害でも、心身障害者扶養共済に加入ができます。
知的障害の場合は、療育手帳の全ての等級で加入できます。
療育手帳なら、軽度障害であっても、加入できるので、知的障害者に加入しやすい制度になっています。

身体障害者手帳が4級から6級でも、療育手帳も併せ持っていれば、共済に加入できます。

掛金の支払い期間、心身障害者扶養共済

掛金の支払い期間は、2つの条件を両方とも満たすまでです。

  1. 加入日から20年間
  2. 年度初に満65歳である年度

1つ目の条件は、加入した日から20年間、掛け金を支払うことです。

2つ目の条件は、加入者が4月1日時点で満65歳である年度のうち、加入日の日付の前月までです。

この2つの条件を、両方とも満たせば、掛金の支払い期間が終了します。

もちろん、1.と2.の条件にかかわらず、加入者が死亡した場合は、その時点で、掛金の支払いは終了して、障害者に対して年金の支給が始まります。

共済を契約したら、すぐに加入者が死亡して、その後に障害者が長生きした時には、ほとんど掛金を支払わず、年金を長年受け取ることができます。
加入者が早くに死ぬのは悲しいことですが、金銭面だけを考えると最もお得で嬉しいケースになります。

掛金の金額、心身障害者扶養共済

掛金の金額は、加入した時点での年齢で決まります。

掛金の金額は、加入する年度の、年度初時点での年齢によって決まります。
掛金の支払い期間が終了するまで、加入時点で決まる定額の掛金を毎月支払います。

年度とは、4月1日から翌年の3月31日までのことです。

例えば、10月生まれの人が、11月に40歳で加入する場合は、
加入する年度初の4月1日時点では、39歳だったので、「35歳以上40歳未満」の、掛金月額11,400円を、65歳まで支払います。

若い時に加入すれば、長期間掛金を支払うので、掛金の金額は安く設定されています。
逆に、歳をとってから加入すれば、掛金を支払う期間が短くなるので、掛金の金額は高く設定されています。

加入時の年齢

掛金月額
(1口あたり)

35歳未満

9,300円

35歳以上
40歳未満

11,400円

40歳以上
45歳未満

14,300円

45歳以上
50歳未満

17,300円

50歳以上
55歳未満

18,800円

55歳以上
60歳未満

20,700円

60歳以上
65歳未満

23,300円

年金の支給期間・支給金額と注意点

保護者の死亡で、障害者に年金の支給が始まります。

加入者である保護者が死亡すると、障害者に対して、年金の支給が始まります。

年金の支給期間は、障害者が死ぬまで、生涯にわたって支給されます。

障害者が長生きすればするほど、それだけ長期間にわたって年金の支給期間が続きます。

  • 年金の支給金額は、1口あたり、月額2万円、年額24万円です。

支給される年金は、1口加入なら月額2万円で、2口加入なら月額4万円です。

年金支給の注意点

犯罪行為などが原因の場合は、年金が受け取れません。

加入者である保護者が、重度の障害状態になった場合には、保護者死亡と同様に、掛金の支払いは終了して、障害者に対して年金の支給が始まります。
この時の、重度障害の程度の基準は、この共済制度の独自の認定基準です。

加入日から1年以内に、自殺によって加入者が死亡した場合は、年金は受け取れません。口数追加から1年以内の自殺の場合も、同様です。自殺による死亡でも、1年経過後であれば、年金は支給されます。

加入者の故意や重大な過失、犯罪行為によって、重度の障害状態になった場合も、年金は受け取れません。つまり、自殺未遂による重度の障害では、年金は受け取れません。

障害者が故意に加入者を殺害した場合や、障害者の故意が加入者の重度障害の原因となった場合も、年金は受け取れません。

加入者より先に、障害者が死亡した場合は、年金は受け取れません。
この場合は、加入期間が1年以上であれば、加入期間に応じて弔慰金(一時金)だけが支給されます。
障害者本人の死亡によって、障害者の経済的な不安はなくなるので、共済の本来の主旨は一応達成されています。

申請手続きの方法、心身障害者扶養共済

身体障害者手帳をもらった、市役所の窓口に申請してください。

心身障害者扶養共済に加入するときは、市区町村の障害者福祉担当の窓口で、申請しましょう。

  1. 市役所窓口で申請手続き
  2. 加入資格の審査(市役所)
  3. 健康状態の審査(福祉医療機構)
  4. 加入可否の通知(市役所)

将来、年金をもらう時に、障害者本人が年金を管理することが難しい場合には、障害者以外の、年金管理者を指定することができます。
この年金管理者は、契約後に、追加で指定することもできますし、後から別の人に変更することも可能です。

加入者である障害者の保護者には、健康状態の告知義務があり、健康状態の審査があります。
健康状態の審査は、通常の民間の生命保険と同じ基準です。

健康状態の審査に不合格だった場合は、不合格の通知が届き、共済には加入できません。

例えば、障害児の父親が健康状態の審査に不合格であったとしても、障害児の母親が健康状態の審査に合格すれば、母親を加入者として、共済には加入できます。

都道府県を超えての引っ越し。

この心身障害者扶養共済の制度は、それぞれの都道府県が条例によって管理しています。
そのため、都道府県を超えて引っ越す場合は、共済制度の移転手続きが必要になります。

手帳が4級から6級でも加入したいです。

残念ですが、身体障害者手帳の等級が、4級から6級の場合は加入できません。

心身障害者扶養共済に加入できるのは、身体障害者手帳の等級が1級から3級まで限定です。
保護者の死後に、経済的な不安を抱える身体障害者でも、全員は加入できません。

療育手帳を持つ知的障害者の場合は、全員加入できます。
知的障害者の場合は、判断力が弱いので保護者の死後、経済的な不安が大きいのが理由のようです。

一般の民間の生命保険会社の生命保険より、優遇のある有利な条件の保険なので無理は言えませんが、手帳の等級が4級から6級までの身体障害者の保護者でも加入できるようになるとありがたいです。

厚生労働省や福祉医療機構の皆様、なんとかお願いします。

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