具体的な医師の診断書の作成方法は「認定要領」で手続きが行われます。
手帳申請の診断書、様式その1「総括表」
肢体不自由障害の診断書の様式、総括表です。
診断書の様式、法令で規定されています。
手帳の申請には、法令で規定された様式の診断書を、指定医師が作成し添付します。
身体障害者手帳は、障害程度等級表や認定基準によって、認定の手続きが行われます。
身体障害者手帳の申請には、医師の診断書と意見書を添付することが、身体障害者福祉法第15条で規定されています。
この診断書と意見書は、都道府県知事から指定された医師だけが作成することができます。
診断書とは、障害の診断内容を書いたもので、意見書とは、どの等級に該当するかの意見を書いたのものです。
知事が指定する医師は、身体障害者福祉法の第15条第1項、身体障害者福祉法施行令の第3条で、規定されています。
診断書と意見書は、身体障害者福祉法施行規則の第2条で規定された様式を使用します。
認定要領、診断書「総括表」について
肢体不自由障害の総括表の認定要領です。
身体障害者障害程度等級表では、肢体不自由を上肢、下肢、体幹及び乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害に区分してます。したがって、肢体不自由診断書の作成に当たっては、これを念頭に置き、それぞれの障害程度を認定するために必要な事項を記載します。併せて障害程度の認定に関する意見を付けます。
「総括表」について
ア「障害名」について
ここにいう障害名とは、あることにより生じた結果としての四肢体幹の障害を指すもので、機能欠損の状態、あるいは目的動作能力の障害について記載します。即ち、ディスファンクション又はインペアメントの状態をその障害部位とともに明記することで、例を挙げると、①上肢機能障害(右手関節強直、左肩関節機能全廃)、②下肢機能障害(左下肢短縮、右膝関節著障)、③体幹運動機能障害(下半身麻痺)、④脳原性運動機能障害(上下肢不随意運動)等の書き方が標準的です。
イ「原因となった疾病・外傷名」について
病名がわかっているものについてはできるだけ明確に記載することが望ましいです。即ち、前項の障害をきたした原因の病名(足部骨腫瘍、脊椎損傷、脳性麻痺、脳血管障害等)を記載することです。例えば、右手関節強直の原因として「慢性関節リウマチ」と記載し、体幹運動機能障害であれば「強直性脊髄炎」であるとか「脊椎側弯症」と記載します。さらに、疾病外傷の直接原因については、右端に列挙してある字句の中で該当するものを○印で囲み、該当するものがない場合にはその他の欄に直接記載します。例えば、脊髄性小児麻痺であれば疾病に○印を、脊髄腫瘍の場合にはさらにその他に○印をした上で、( )内には肺癌転移と記載します。なお、その他の事故の意味するものは、自殺企図、原因不明の頭部外傷、猟銃暴発等外傷の原因に該当する字句のない場合を指すものであり、( )内記載のものとは区別します。
ウ「参考となる経過・現症」について
初発症状から症状固定に至るまでの治療の内容を簡略に記載し、機能回復訓練の終了日をもって症状の固定とします。ただし、切断のごとく欠損部位によって判定の下されるものについては、再手術が見込まれない段階に至った時点で診断してよいです。現症については、別様式診断書「肢体不自由の状況及び所見」等の所見欄に記載された内容を摘記します。
エ「総合所見」について
傷病の経過及び現症の結果としての障害の状態、特に目的動作能力の障害を記載します。
例:上肢運動能力、移動能力、座位、起立位等
なお、成長期の障害、進行性病変に基づく障害、手術等により障害程度に変化の予測される場合は、将来再認定の時期等を記載します。
オ「その他参考となる合併症状」について
他に障害認定上参考となる症状のある場合に記載します。
手帳申請の診断書、様式その2「障害の状況及び所見」
肢体不自由障害障害の診断書の様式、障害の状況及び所見です。
認定要領、診断書「障害の状況及び所見」について
肢体不自由障害障害の状況及び所見の認定要領です。
ア 乳幼児期以前に発現した脳原性運動機能障害については、専用の別様式診断書「脳原性運動機能障害用」を用いることとし、その他の上肢、下肢、体幹の障害については、別様式診断書「肢体不自由の状況及び所見」を用います。ただし、痙性麻痺については、筋力テストを課すのは必要最少限にすること。
イ 障害認定に当たっては、目的動作能力に併せ関節可動域、筋力テストの所見を重視しているので、その双方についての診断に遺漏のないよう記載すること。
ウ 関節可動域の表示並びに測定方法は、日本整形外科学会身体障害委員会及び日本リハビリテーション医学会評価基準委員会において示された「関節可動域表示並びに測定法」により行うものとします。
エ 筋力テストは徒手による筋力検査によって行うものであるが、評価は次の内容で区分します。
・自分の体部分の重さに抗し得ないが、それを排するような体位では自動可能な場合(著減)、又はいかなる体位でも関節の自動が不能な場合(消失)…×
・検者の加える抵抗には抗し得ないが、自分の体部分の重さに抗して自動可能な場合(半減)…△
・検者の手で加える十分な抵抗を排して自動可能な場合(正常)、又は検者の手を置いた程度の抵抗を排して自動可能な場合(やや減)…○
オ 脳原性運動機能障害用については上肢機能障害と移動機能障害の双方につき、一定の方法により検査を行うこととされていますが、被検者は各動作について未経験のことがあるので、テストの方法を事前に教示し試行を経たうえで本検査を行うこととします。
認定要領、「障害程度の認定」について
障害程度の認定要領です。
(1) 肢体不自由の障害程度は、上肢不自由、下肢不自由、体幹不自由及び脳原性運動機能障害(上肢機能・移動機能)の別に認定します。
この場合、上肢、下肢、体幹の各障害については、それらが重複するときは、身体障害認定基準の障害が重複する場合の取扱いにより上位等級に認定することが可能であるが、脳原性運動機能障害(上肢機能・移動機能)については、肢体不自由の中で独立した障害区分であるので、上肢又は下肢の同一側に対する他の肢体不自由の区分(上肢・下肢・体幹)との重複認定はあり得ないものです。
(2) 上肢不自由は、機能障害及び欠損障害の2つに大別され、それぞれの障害程度に応じ等級が定められています。
機能障害については、一上肢全体の障害、三大関節の障害及び手指の障害の身体障害認定基準が示されているので、診断書の内容を基準によく照らし、的確に認定します。
欠損障害については、欠損部位に対する等級の位置付けが身体障害者障害程度等級表に明示されているので、それに基づき認定します。
(3) 下肢不自由は、機能障害、欠損障害及び短縮障害に区分されます。
機能障害については、一下肢全体の障害、三大関節の障害及び足指の障害の身体障害認定基準に照らし、診断書の記載内容を確認しつつ認定します。
欠損障害及び短縮障害については、診断書における計測値を身体障害者障害程度等級表上の項目に照らし認定します。
(4) 体幹不自由は、高度の体幹麻痺をきたす症状に起因する運動機能障害の区分として設けられているものであって、その原因疾患の主なものは脊髄性小児麻痺、強直性脊椎炎、脊髄損傷等です。
体幹不自由は四肢にも障害の及ぶものが多いので、特に下肢不自由との重複認定を行う際には、身体障害認定基準にも示されているとおり、制限事項に十分留意する必要があります。
(5) 脳原性運動機能障害は、脳原性障害の中でも特に生活経験の獲得という点で極めて不利な状態に置かれている乳幼児期以前に発現した障害について特に設けられた区分です。
その趣旨に即して、適切な障害認定を行う必要があります。
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